新しい生活様式に伴い、テレワーク用のスペースや子供部屋など、様々な用途でトレーラーハウスが注目されています。
また、終の棲家としてトレーラーハウスの購入を検討している人もいるでしょう。しかし、家を建てるように時間もかからず、基礎も梁も柱もないトレーラーハウスでは長く済むには不安ですよね。
トレーラーハウスには長期間住む上での課題も存在します。従来の住居と比べて、維持費などのコストや耐久性についても検討しておく必要があります。
そこで本記事ではトレーラーハウス購入のメリット・デメリットや購入する際の注意点などを紹介していきます。
この記事でわかること
- トレーラーハウスの定義
- トレーラーハウスのメリット・デメリット
- トレーラーハウスの価格
- カセットコンロで作るおすすめ料理
トレーラーハウスの購入を検討されている方は、最後まで読んでください。
1971年北海道生まれ、旅行・サウナ・温泉・サーフィン・スノーボード・釣り・キャンプなど北海道のアウトドアを楽しむ。自らもキャンピングカーで日本縦断やアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどを巡り、北海道ローカルが楽しむ本物の北海道の素晴らしさを世界に発信。海外同様のキャンピングカー旅文化を広げるために、現在は北海道ニュージーランド化計画を推進中
トレーラーハウスとは「タイヤの付いた移動式の住居」
トレーラーハウスとは「車で牽引して移動できるタイヤの付いた住居」です。
日本では法的にはトレーラーハウスは自動車であるというのが基本的な考えのため、道路を走行する場合は車検を受ける必要があります。
また、サイズ等で自動車と認められない場合は運輸局に「基準緩和の認定」を申請しなければならず、基準緩和の認定を受けることで、一定期間運行が可能となります。
トレーラーハウスは事業所用と居住用の2種類があり、居住用はキッチンやバス、トイレがある分、事業所用よりも価格が高くなる傾向にあります。
キャンピングカーとの違いは「自走ができない」
キャンピングカーとトレーラーハウスの違いは「自走ができるかどうか」です。
キャンピングカーは車内にキッチンやシャワー、トイレなどを取り付けたもので、エンジン等があり自走できます。
トレーラーハウスは住居にタイヤがついているものであり、エンジン等の原動機はついていないため、自走はできません。そのため、移動の際には牽引をします。
自走はできないトレーラーハウスですが、外部の電気、ガス・水道などのインフラと接続が可能。
一方、キャンピングカーは車に取り付けられたバッテリーから電気を供給し、水は事前にタンクに準備しておく必要があります。排水はタンクに貯めておき、後で処理をする必要があります。
住民票を取得できる
住民票とは氏名や住所、生年月日、住民となった日などの情報をまとめたもので、どこに住んでいるかの証明になります。
それだけでなく、公共サービスや各種手続きを受けるためにも重要なものです。
トレーラーハウスであっても条件を満たせば住民票の取得をすることができます。条件は大きく分けて2つあります。
住民票取得の条件
- トレーラーハウスを設置する土地が所有地であること
- 移動し続けるのではなく一定期間その土地に留まっていること
なお、土地は自分の所有でなくても大丈夫です。家族所有や借地で賃料を支払っている場合でも条件は満たされます。
住民票は居住の本拠地を表すものです。各地を転々と移動しているのでは本拠地とは認められないので、その土地に居住していることが重要です。
トレーラーハウス購入のメリットは「固定資産税がかからない」
トレーラーハウスは居住スペースにタイヤがついたもの。車両として認められると、固定資産税の対象外となります。
ただし、トレーラーハウスを車として登録するには多くの課題のクリアが必須です。「道路運送車両の保安基準」を満たすためには車検に通す必要があります。
また、「随時かつ任意に移動できる」ことも条件の一つ。「建築基準法」に基づき、各自治体が判断します。
車検を通し、車両としての条件をクリアしても、建築物とみなされる場合は固定資産税が課されます。
購入の際には、専門家との相談が必要です。
トレーラーハウス購入の大きなデメリットを3つ紹介
トレーラーハウス購入のデメリットは主に3つです。
トレーラハウスを購入するデメリット
- 数々の課題をクリアしても車両として認められない場合がある
- 運搬には高額な費用がかかる
- 住居に比べ耐久性が劣るため修繕費がかかる
ひとつずつ紹介していきます。
車両として認められない可能性がある
車両として認められる場合は、サイズによって車検に通し「道路運送車両の保安基準」を満たす必要があります。
一般の車と同じように購入時の自動車取得税、1年に1度の自動車税、車検時の重量税の支払いが必要です。
また、電気や水道、ガスなどのインフラはワンタッチで取り外し可能なアタッチメントにしておく必要もあります。
トレーラーハウスはタイヤがついているため、ハウスへの出入りには階段やウッドデッキなどが必要になりますが、それらも取り外し可能に設計されています。
「随時かつ任意に移動できる」かどうかを判断するのは「建築基準法」であり、各自治体の判断です。車両と認められたとしても建築物と判断された場合は固定資産税の支払いが必要になります。
運搬に高額な費用がかかる
トレーラーハウスは居住スペースにタイヤがついていますが、エンジンなどの駆動するためのものはついていません。
そのため、移動の際には牽引しなければなりません。多くのトレーラーハウスはサイズが大きいため、購入者自身で動かすことが難しく、専門の業者に依頼する必要があります。
車両とみなされているトレーラーハウスの場合、1、2年ごとに車検を受ける必要があるので、その度に牽引を業者に依頼しなければなりません。
業者に依頼する場合の費用は最低でも20万円程度。距離や設置場所の状況によってはさらに高額になることも考えられます。
移動後は完璧に元通りにはならないため、微調整などが必要です。取り外したインフラを再接続し、問題なく使えるかを確認しなければなりません。
移送は費用も高額な上、手間暇がかかるのです。
住居に比べて耐久性が劣り修繕費がかかる
トレーラーハウスは移動して使うという本来の目的があるため、軽量化されています。
タイヤや車軸などの居住スペースを載せる部分は頑丈に作られていますが、全体の軽量化のためには居住部分の材料や構造が工夫されることがあります。
壁などが薄いこともあるので気密性や断熱性が住宅に比べ劣ってしまいます。結露や雨などによる腐食があれば修理が必要です。
居住のための建物である住宅とは目的が違うため、住宅に比べると耐久性が劣ります。
また、車両としての安全性や基準を満たしているかを確認するためのものが定期的な車検です。
車検に通るには「道路運送車両の保安基準」を満たした状態でなければならないため、定期的なメンテナンスが必要です。
トレーラーハウスの価格|最高で1,000万円以上
トレーラーハウスには「国産」と「輸入品」の2つの主なカテゴリーがあります。
中古の流通が少ないため、購入の際には新品を選ぶことが多くあります。その金額は高いものだと1,000万円以上にもなります。
輸入品は車検に通らないこともあるため、おすすめは国産です。
国産のトレーラーハウスは日本の規制に適合していることが多いため、車両としての税金や車検の手続きがスムーズに進む場合が多いです。このことは、長期的に見ると全体のコストが抑えられることを意味しています。
中古のトレーラーハウスの相場価格は【150万〜1,000万円】
中古のトレーラーハウスの流通は少ないため、購入を検討した場合、新品も視野に入れておく必要があります。
中古のトレーラーハウスは事務所や店舗用ですと相場は150万~600万円、居住用ですと230万~1,000万円です。
ハウス本体のサイズによって金額は変わりますが、ハウスの性能や機能性も価格に影響します。気密性や断熱性が低いと冷暖房などの光熱費が上がってしまうので、性能をしっかり把握しておきましょう。
また、中古のトレーラーハウスの購入を検討する場合はオークションサイト経由での購入ではなく、メンテナンスが行き届き、保証もあるトレーラーハウスの専門店を経由すると良いでしょう。
とくに初めて購入する場合は、品質の良し悪しの判断が難しいため、雨漏りや装備の故障など気づかずにトラブルになることもあります。後悔しないよう、隅々までしっかり見て、確認・判断をしましょう。
新品のトレーラーハウスの相場価格は【200万〜1,300万円】
新品のトレーラーハウスの相場は事務所・店舗用で200万円~1,000万円、居住用で300万円~1,300万円です。
新品の場合、内装や室内の間取りなどもオーダーできる可能性があります。自分好みにカスタマイズすると金額も変動するので、予算を見ながら選択しましょう。
ただし、海外からの輸入のトレーラーハウスですと、日本仕様ではないため車検に通らない可能性もあります。車両としての登録を考えている場合は注意が必要です。
また、サイズによっては移送の際の手続きや業者の手配に1ヶ月以上かかることもあります。設置場所へのアクセスが確保できるかどうかを正確に判断する必要があり、そのため業者選びも重要です。
あわせて、車両として登録するか、住居とみなされるかで適用される税金が変わります。購入の際には必ず専門家と相談して検討しましょう。
トレーラーハウスの購入で後悔しない3つの心得
レーラーハウスの購入には新車の車を購入するのと同じ、あるいはそれ以上のお金が必要です。
後悔は避けたいものですよね。
ここからは、購入する際の3つの心得をお伝えします。
トレーラーハウス購入時の心得
- 事前に専門家に相談する
- トータルの費用の計算をする
- 本当に必要なのか検討する
購入前に専門家に相談する
トレーラーハウスは車両とみなされるか、住居とみなされるかで適用される税金が変わります。
国土の狭い日本では、アメリカのようにトレーラーハウスがポピュラーではありませんし、法律の整備もされていません。
線引きがあいまいなため、車両なのか、住居なのかも自治体によって判断が分かれてしまうのも実状です。
設置を検討している土地や周辺の道路の状況、希望するトレーラーハウスの特性や要件を考慮して、専門家に必ず相談しましょう。相談先は国内でトレーラーハウスを製造している会社がおすすめです。
輸入のトレーラーハウスは車検に通らない可能性もあるため、自社で生産している会社の方が知識が豊富でしょう。
トータルの費用を計算する
トレーラーハウスの購入にかかる費用は本体だけではありません。運搬費用は距離、設置費用は路面状況や、土地の勾配・地盤などの状況で変わります。
車検に通るトレーラーハウスでは、車検費用や税金、インフラの設置費など、本体価格以外にも多くの費用がかかります。設置後も毎月の電気ガス水道などの使用料、移動の際の費用、車検費用、税金、修繕費がかかるでしょう。
一般の木造住宅の法定耐用年数は約22年です。一方、自動車を20年乗り続ける場合、メンテナンスに相当な費用がかかることは明白。
トレーラーハウスが住宅よりも耐用年数が短いと考えると、手放すときの廃却費用もかかります。
トレーラーハウスの設置を検討するときには購入から廃却まで、数年でどのくらいの費用がかかってくるのかをシミュレーションしておく必要があります。
本当に必要かどうか検討する
税金対策としてトレーラーハウスを購入すると、後悔する可能性があります。
たとえば、更地であっても固定資産税はかかりますよね。建物がある場合は建物と土地の両方に固定資産税がかかります。
しかし、車両とみなされたトレーラーハウスの場合、住居ではないため建物にはかかりませんが、土地に対しての固定資産税が100%かかるのです。
トレーラーハウスの維持にお金がかかるのは固定資産税だけではありません。
本当にトレーラーハウスが必要なのか、どうしてもトレーラーハウスでなければいけないのか考えましょう。すべて納得して不安材料がクリアになるまで何度でも検討することが必要です。
まとめ
トレーラーハウスは長期間住むには不向きです。
短期間であればコストを抑えられますが、終の棲家として考えるのは大間違い。現状の法律の状況では、住居かの判断が自治体によって分かれるなど、おすすめはできません。
その移動性や柔軟性を実感するには、事務所やコテージとして一定期間の使用がおすすめです。
もし土地が余っているならば、プレハブでも建てた方が手間やコストがおさえられるのでよいでしょう。
トレーラーハウスの購入は安易に考えず慎重に検討してください。