クルマに寝泊まりをする車中泊。
旅行となると荷物も増え、持ち歩くのは大変ですが、車中泊ならばテントに寝泊まりをするキャンプなどのアウトドアよりも手軽にできます。
近年では24時間利用可能な駐車場やオートキャンプ場なども増えたため人気を集めています。
しかし夏の車内は高温になるのは周知のこと。 車中泊はしてみたいけれど、 快適に過ごしたいですよね。
そこで今回は、夏の車中泊を快適に過ごす方法や注意点を紹介していきます。
この記事でわかること
- 夏の車中泊の必需品
- 真夏の車中泊における注意点
- 快適に夏の車中泊をするためのポイント
車中泊で快適な夜を過ごしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
1971年北海道生まれ、旅行・サウナ・温泉・サーフィン・スノーボード・釣り・キャンプなど北海道のアウトドアを楽しむ。自らもキャンピングカーで日本縦断やアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどを巡り、北海道ローカルが楽しむ本物の北海道の素晴らしさを世界に発信。海外同様のキャンピングカー旅文化を広げるために、現在は北海道ニュージーランド化計画を推進中
夏の車中泊は暑さ対策が必須
車中泊では快適に過ごすための工夫が必須です。
車内は外気温以上の温度になります。特に夏はエアコンを停止して数分で人や動物が耐えられないレベルの温度に達します。
毎年のように夏の車内での痛ましい事故のニュースを耳にしますよね。夏は暑さへの対策が必要なのは夜間も同じです。
ましてや、車中泊です。車内で寝泊まりする訳ですから、暑すぎて眠れないでは困ります。
1日の旅の疲れを癒やすためにも暑さ対策は必要です。
夜間でも熱中症の危険がある
夜間なら日も出ていないし熱中症にならないと思うかもしれませんが、それは間違いです。
日中に蓄えられた熱で室内の温度が上昇した状態が続きます。さらに防犯のために窓を閉めきることが多く、自然の風が入らないので空気が循環せずに熱が滞留しやすくなります。
人は睡眠中もたくさんの汗をかいていますが、起きない限りは水分補給をすることもできません。
加えて睡眠中は意識がないため頭痛や吐き気、めまいなどの体調の変化に気づくのが遅れます。よって重症化する可能性も出てくるのです。
睡眠中の夜間こそ熱中症の重症化に気をつける必要があります。
空気を循環させて室内温度を下げよう
まずは熱せられた空気を循環させて室温を下げましょう。
クルマのボディは鉄板でできているため、炎天下にさらされたクルマはかなりの高温になっています。日中に高温になったボディの熱が室内へ伝わり、日が落ちて夜になっても暑い状態が続いてしまうのです。
高温の空気が滞留している状態では身体の中にこもった熱も放出できません。そんな暑いところで入眠するのは至難の業ですよね。
空気が動くことで体感温度も変わってきます。「これくらいの暑さなら大丈夫」とガマンをしてはいけません。
こまめに室温や湿度を計り、できる限り最適な室温・湿度をキープしていきましょう。
防犯対策も合わせて考える
空気を循環させるために窓を全開にしたいところですが、それでは防犯上かなり不安ですよね。
車中泊では全ての荷物が手元にありますが、就寝中は守り切ることが難しいですし、車上荒らしのように荷物を狙うのではなく、人がいるところを狙った犯罪の可能性もあります。
そのため、防犯対策も合わせて考えていかなければなりません。
クルマに乗り込む際には周囲を確認しましょう。万が一のとき、すぐに発進できるように進行方向へ向けて駐車をすることや、運転席付近に荷物を置かないようにしておくことも重要です。
運転する人は飲酒も控えたほうが良いかもしれません。そのような防犯対策は自然災害や急な天候の変化にも備えることにつながります。
夏の車中泊の必需品5選【快適に過ごす】
夏の車内の一番の悩みは暑いこと。
車中泊をするなら熱中症を予防し、快適に過ごすための対策が必須です。
必要なものは揃えなければいけません。しかし、普段使いできないものばかり増えても困ります。何から揃えればいいのかわからないことがありますよね。
そこで快適に過ごすための必需品をご紹介していきます。
夏の車中泊の必需品5選
- ポータブルクーラー
- サーキュレーター
- サンシェードやカーテン
- 冷感敷きパッド
- 制汗剤
それでは順番に見ていきましょう。
ポータブルクーラーで車内を冷やす
ポータブルクーラーはその名の通り持ち運びができる携帯用クーラーです。
夏場のキャンプやバーベキューなどの屋外や室内など好きな場所で使用できます。デスクに置いて使用するものやキャスターで移動する大型のものなどサイズもさまざまです。
しかし、車内に運べるサイズのものはクルマのエアコンよりは冷房能力の低いものがほとんどです。真夏の高温の車内を考えると断熱性能は低いですから、涼しいと思えるほど冷やすことは期待できません。
車中泊で使用するものは設置スペースに収まるもので冷房能力が高いものを選びましょう。
もう一つ大切なことは「作動音」です。コンプレッサーを内蔵しているためどうしても作動音が気になってしまいます。
寝るときの使用も考え、できるだけ静かなものがおすすめです。
補足:ポータブルバッテリーの選び方
クルマでポータブルクーラーを使用するときは就寝中などエンジンを切り、長時間ポータブル電源につなぐことが考えられます。
ですから、ポータブル電源を選ぶ際は、定格出力や容量を確認する必要があります。必要な電力を出力できなければ作動できませんし、作動できても容量不足ですぐに使用できなくなっては意味がありません。
ポータブルクーラーの消費電力に対応しきちんと作動できるか、連続で何時間使用できるかを比較して選びましょう。
サーキュレーターで空気を循環させる
狭い場所ではサーキュレーターを使用して空気を循環させましょう。
暖かい空気は膨張して上へ、冷たい空気は下に留まるため、同じ車内で空気の層ができます。足元は冷えるのに頭は熱いということを防ぐために、層になってしまう空気を混ぜ、車内の温度を均一にします。
エアコンやクーラーを使用しているときは風の当たる場所と当たらない場所ができてしまい体感温度が変わってしまうのです。しかし、サーキュレーターの作り出す気流によって室内全体へ行き渡らせることができます。
また、サーキュレーターによって空気の流れを作り効率的に換気を行えます。窓などを開けて濁った空気や臭いなどを外に出すときに使用すれば短時間での換気が可能です。
サンシェードやカーテンで虫除けと遮光を
サンシェードやカーテンを使用しましょう。
クルマの前面はガラス面が占めているため、ダッシュボードは日が当たりやすくかなり高温になります。
サンシェードをすることで陽の光が入るのを防ぎ、車内の温度の上昇を軽減できます。あわせて左右のドア窓もカーテンやサンシェードを使用することで温度上昇の軽減に役立つのでおすすめ。
サンシェードやカーテンは遮光だけでなく窓を開けて停車したいときなどにも、虫の侵入を防ぎます。また、車内が見えにくくなるので休憩や車中泊のときなどにプライバシーの確保にもつながります。
しかし、視界の確保がしにくくなるため、車検時などはもちろん、運転中も外しておくほうが良いでしょう。
冷感敷きパッドでひんやり快適
冷感敷きパッドを使用すればひんやり感アップです。
冷感敷きパッドは触るとひんやりと感じる生地「接触冷感素材」でできています。
生地内の水分をすばやく吸収・拡散し気化熱を奪い、肌から生地へ瞬時に熱を移動させて生地に触れるとひんやりと感じるようになっています。
普段、使い慣れた自宅で使用しているものを持ち込んでも良いでしょう。実際に使用してみるとすぐにひんやり感がなくなる製品も多くあります。
冷たさが持続するもの、触れたときの瞬間的な冷たさ、肌触りや寝心地などを選ぶ基準にして自分に合うものを選びましょう。
リバーシブル使用のものなら気温や季節によって変えれば、夏以外の季節でも使用可能です。
制汗剤で体をすっきりさせる
制汗剤で汗によるベタつきや臭いを防ぐこともおすすめです。
身体がベタベタしていると気持ちが悪いですよね。事前に使用して発汗を抑えることもできますし、汗をかいたあとでも使用感のさっぱりしたものを使えば汗によるベタつきや暑さからも開放されます。
冷涼成分が配合されたものであれば、クール感の持続も期待できます。
スプレータイプやミストタイプ、クリームタイプ、ロールオンタイプなどさまざまな種類がありますが、外出時などにリフレッシュしたいときにはミストタイプがおすすめ。
シュッとしたときのひんやり感もありますし、部分使いができるので使いやすいです。
真夏の車中泊における4つの注意点
宿泊費などの費用を抑えて手頃に楽しめる車中泊です。しかし、暑さ対策や防犯対策以外にも真夏の車中泊では気をつけなければいけないことがあります。
真夏の車中泊における4つの注意点
- 駐車場所
- こまめな水分補給
- 虫対策
- 長時間のアイドリング
この4点です。自分自身だけでなく周囲にも関わることがあります。楽しい旅行にするため、自分の身を守るためにも知っておいてください。
ひとつずつ紹介していきます。
st-kaiwa1 r]車中泊の注意点については、以下の記事で詳しく解説をしています。合わせてご覧ください。[/st-kaiwa1]
車中泊の許可が下りている場所に駐車しよう
車中泊を認めている場所に駐車しましょう。
車中泊では一つの場所に長時間駐車します。そのため、他の利用者が駐車できなくなってしまうことから、車中泊を禁止している場所もあります。
予定している場所が車中泊が可能な場所か確認しておきましょう。
車中泊を許可している場所は日本RV協会に認定されたRVパークやオートキャンプ場、各地の名産品が並ぶ道の駅などが挙げられます。
広い駐車スペースや24時間利用できるトイレ、シャワーなどの設備が充実しているところ、近隣に温浴施設があるところなどがあります。
無料のところから有料のところ、予約が必要などさまざまです。またすべての道の駅で車中泊が認められているわけではないので事前の確認は重要です。
こまめな水分補給で熱中症予防
熱中症予防のために欠かせないのが水分補給です。
しかし、水分なら何を飲んでも良いというわけではありません。コーヒーなどのカフェインが含まれているものでは利尿作用が働くため不向きです。
水分と塩分を同時に摂取できるスポーツ飲料、ミネラルも補給できる麦茶やルイボスティー、コーン茶などのノンカフェイン飲料、手軽にエネルギー補給ができる栄養ドリンクなどがおすすめです。
糖分などの過剰摂取にならないようにこれらをバランスよく飲み熱中症を予防してください。
もし、頭痛や吐き気など熱中症かな?と思ったときにはスポーツドリンクより速くエネルギーの吸収ができる経口補水液を飲みましょう。それでも改善しない場合は早急に病院を受診してください。
虫対策で快適に過ごす
忘れてはいけないのが虫への対策です。
コバエや蚊、アブ、ハチなど暑い時期に自然の多い場所へ行けばたくさん飛んでいます。刺されてしまっては大変です。
虫除けには身体にスプレーするものや部屋にワンプッシュするもの、蚊取り線香、電気を使用するものなどがあります。
虫除けスプレーは肌に優しい成分を使用したもの、香りが強くないものなど好みや体質に合わせたものを選んでください。
蚊取り線香も蚊以外の虫にも効果のあるものが発売されています。電気を使用する虫よけは車内でも使用できますがポータブル電源などが必要になります。
また、蚊は汗の臭いに寄ってくるのでこまめに汗を拭き取ることも効果的です。車外と車内、自分自身とそれぞれ用途に合わせた虫よけを使用すると安心ですね。
エンジンはつけっぱなしにしない
エンジンをかけたままにしておくことはやめましょう。
排気ガスが逆流することで一酸化炭素が室内に充満し、知らぬ間に一酸化炭素中毒を起こす危険性があります。
昼間はあまり気にならないエンジン音も夜間になると大きく感じますし、周辺住民などの迷惑になります。
排気ガスに含まれる二酸化炭素は環境に悪影響です。このように自分自身を危険に晒す危険性もありますし、周囲への配慮のためにもエンジンを切って過ごしましょう。
快適に夏の車中泊をするための4つのポイント
真夏に車中泊をするときに熱中症や虫への対策は大切なことです。それらの対策を行った上でさらに快適に過ごすためにできることはあるのでしょうか。
車中泊が初めてという場合など揃えるものも多くあると思います。しかし、宿泊費などを抑えられるはずなのにそのために買い揃えるでは結局出費がかさんでしまいます。
もちろん、車中泊の良さは費用の軽減だけではありません。それでも出費を抑えて快適になる方法があれば試してみるべきです。
そこで、すぐにできる車中泊を快適にするためのポイントを4つをお伝えしていきます。
速乾性の高い服装で寝る
暑い日は汗をたくさんかきます。服が湿ってベタベタと張り付いて不快に思った経験はありますよね。
真夏であれば夜になっても気温が下がらない熱帯夜のこともあります。エンジンを停止させて過ごす車中泊ではエアコンの効いた室内のように車内を涼しくすることは難しいです。
寝苦しい上に服が張り付いて気持ちが悪いでは快適に過ごすとは程遠いもの。着替えを多めに用意してその度に着替えるのでは荷物は増えますし、まとまった時間寝ることができなくなってしまいます。
しかし、速乾性に優れた服を着れば着替える回数を減らせます。さらに汗をかいたあともベタベタせずにさらっと快適な着心地が続きます。
標高が高い場所を選ぶ
標高が高いところにある車中泊が認められている場所を選びましょう。
標高が高いところほど空気が薄くなるので気圧が低くなります。気圧が下がると温度も下がる性質があるため標高が高いところほど気温が下がります。標高が100メートル上がると気温が約0.5~0.6度下がると言われています。
車内を涼しくするにはエアコンをかけるのが最も簡単な方法です。しかし、車中泊ではエンジンをかけっぱなしにすることは一酸化炭素中毒の危険もありますし、マナー違反です。
ですので、エンジンを停止した状態で車内の温度を下げるには標高の高いところにある車中泊が認められている場所を選ぶことが一番手っ取り早い方法と言えます。
便利グッズを活用する
車中泊をするためにはマットレスやランタン、寝具などの必須アイテムの他にあると便利なアイテムがあります。
RVパークなどでは施設の電源を利用できます。しかし、施設の電源まで距離がある場合はコードリールがあるとクルマで使用できる家電が増えるため便利でしょう。
また、車内のスペースは限られています。そのスペースを有効に使うには収納グッズが必要になります。天井部分に取り付け、軽いものを収納できるネットやサイドに吊るすことができるフック、洋服や寝具をコンパクトにする圧縮袋などがあると便利です。
シート部分に置く荷物を減らしてくつろげるスペースを少しでも広く確保しましょう。
ドアのロックは忘れずにかける
ドアのロックは必ずかけましょう。
車内に人がいるから大丈夫だと考えがちですが大きな間違いです。気づかれないようにドアを開けて物を盗んでいくかもしれません。自身が直接被害を受ける可能性もあります。
ドアの開閉音も周りに同じように車中泊をしている人がいれば自分のクルマの音ではないと判断してしまうことも考えられます。寝起きで瞬時に身体が動かないかもしれません。そのようなあらゆる可能性を考えてドアはロックしておくと安心です。
さらに貴重品は見えないところへ隠すことや外からカーテンやサンシェイドで車内の様子を見えないようにしておくこともおすすめです。
快適に過ごすためには安全・安心は欠かせません。そのために防犯対策を忘れないようにしてください。
まとめ
車中泊は宿泊費も抑えられ、大きな荷物を抱えての公共機関を使う旅行のような大変さもなく手軽に旅行が楽しめます。
その手軽さで人気が出ている一方で危険も潜んでいます。どのような危険があるのかをしっかりと理解し、必要な知識を持った上で用品などの準備をしましょう。
便利グッズもたくさんあるので自分にあったものを揃えて、安全・安心でより楽しい快適な車中泊にしてください。